地域アンテナ住宅 『のまど間』 2015年4月オープン大山町が空き家を借り受け、地域おこし協力隊の薮田佳奈さん(やぶちゃん)と小谷英介さん(ダニー)が大山町の未来をみすえた熱い想いが多くのひとの心を動かし、始動した「アンテナ住宅」プロジェクト。
アンテナ住宅とは、アンテナショップの住宅版で、コンセプトは、「大山町に住んでみたい」、「大山町の暮らしをもっとしりたい」という外から来たノマド(※)なひとたちが、一定期間、大山町に滞在しながら、地域のひとと交流したり、情報収集やネットワークづくりなどができる、いわば、大山町チャレンジハウスのこと。 『のまど間』と命名されたこのアンテナ住宅、昔ながらの「土間」のある「母屋」=住居空間と、城を模した「離れ」=コワーキングスペース「野間」のふたつのスペースからなる地域の拠点! [住居空間:doma]
今回、『のまど間』の住居スペースの改装にあたっては、地域おこし協力隊の薮田さんと小谷さんの「地域のみなさんに気軽に足を運んでもらえる場にしたい。空き家問題について少しでも知ってもらい、共有したい。」というおもいから、3回のワークショップ形式を取り入れながら、多くのひとに参加・体験してもらっての作業となりました。
第1回 「空き家」リノベワークショップ【解体編】2015年1月25日(日)14:00〜17:00
空き家のリノベーションでさけては通れない解体作業。
今回の改装工事を担当している宮大工でもある株式会社 創伸の北村裕寿(ヒロ)さん、北村誠さん(まこちゃん)のおふたりを講師に、安全で効率のよい解体の仕方を学び・実践。 まず、北村さんの説明を聞き、それぞれの得意分野や興味のある分野にわかれての分担作業を開始。
今回は、「天井を抜く」、「壁を抜く」、「廃棄物を仕分ける」の3つ重点的に。 普段、見られない解体の現場に、どんどん解体されていく家に、どきどき、わくわくしながら、おとなもこどもも、自分の持ち場でよい汗をながし、なんともいえない充実感。
1回目のワークショップには、こどもから大人まで、大山町内の方々をはじめ、町外の地域おこし協力隊員や、「のまど間」のある集落の方まで、みんなで協力しながらの解体作業体験は、ともに「場」をつくる第一歩。ビフォア⇄アフターどうなるか!?
主催:大山町地域おこし協力隊 協力:築き会|大山町移住交流サテライトセンター
撮影取材:大下志穂 写真協力:大山チャンネル 第2回 「空き家」リノベワークショップ【たたき土間編】2015年2月22日(日)10:00〜15:00
住居スペースの最大の特徴、それは、たくさんのひとが集える広い広い「土間」。
施主の(株)創伸の北村さんのこだわりもあって、昔ながらの三和土(たたき)で土間をつくることに。2回目は、北村兄弟に加え、特別講師として左官職人の佐治三津弘さんをお招きしての「たたき土間」づくりのワークショップがおこなわれました。 大まかな作業工程としては、4つ。
①真砂土に石灰と水を混ぜて練る。
②練った土を土間に敷き詰め、平にしたあと、足で踏みしめる。
③「たこ」という専用の木の道具で叩きながら全体を押し固める。
④木のこん棒で三和土を叩き、締め固める。
何度も何度も力のかぎり叩いて叩いてできあがる土間。
これが、約40人の参加者みんなで叩き上げたぴっかぴっかの土間です! 漢字のとおり、たたきながら交わされる会話や交流、一緒に汗を流すことで生まれる仲間意識、助け合うことによって作られるコミュニティ。三和土は、みんなでやるからこそ、たのしめる「和」の作業を身をもって体感!
みんなの笑顔がなによりも物語っています。
大山町外からも、地域おこし協力隊のみなさんをはじめ、東京からわざわざこのワークショップに参加してくれたかたも♪ オープン前から、ひと集う「土間」になってます。 主催:大山町地域おこし協力隊 協力:築き会|大山町移住交流サテライトセンター
撮影取材:大下志穂 第3回 「空き家」リノベワークショップ【仕上げ作業編】2015年3月15日(日)14:00〜17:00
最後のワークショップは、障子貼り、ワックス掛け、お掃除の仕上げ作業。
はじめに薪ストーブの点火式。ストーブの使い方を(株)創伸の北村さんに実演してもらいました。
そして、まずは、障子戸をきれいに水拭き。地元の方に障子の貼り方の説明を丁寧に受けた後、みんなで手分けをして障子貼り。なれない作業に最初はぎこちなかった手元も、何枚か貼るうちみるみる上達。頼もしいかぎり。
玄関は、日本でも古くから使われている天然の顔料べんがら(弁柄)で赤く塗装。べんがらは防虫、防腐の作用もあるそうです。大山町の町長も手際よく作業を手伝ってくれました。
3回のワークショップを通して、「のまど間」ができていく過程を多くのひとと共有する体験は、とても貴重なものになりました。地域内外のネットワークがさらに広がり、これからがとても楽しみです!企画・運営してくれた地域おこし協力隊の薮田佳奈さんと小谷英介さんに感謝です。
主催:大山町地域おこし協力隊 協力:築き会|大山町移住交流サテライトセンター
撮影取材:大下志穂 写真提供:薮田佳奈 [コワーキングスペース:大山城]のメイキングつづく。
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のまど間|大山町門前56-2
http://nomadoma-daisen.com/ 地域おこし協力隊|人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした総務省の取り組み。
※大山町では、2014年3名、2015年6名の協力隊員を採用しています。 http://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/ ノマド(nomad)|英語で「遊牧民」の意味。近年、IT機器を駆使してオフィスだけでなく様々な場所で仕事をする新しいワークスタイルを指す言葉として定着した。このような働き方をノマドワーキング、こうした働き方をする人をノマドワーカーなどと呼ぶ。
北村兄弟|奈良で宮大工の修行をし、大山町で起業。木をこのなく愛する木のプロフェッショナル。古民家・空き家の保存・再生など地域の拠点づくりに積極的に協力。
コミュニティ・スペース「まぶや」の改装にも携わる。兄 北村裕寿さんは、築き会代表。 ◉株式会社 創伸 ◉まぶや ◉北村兄の木の話 たたき(三和土)| 花崗岩や安山岩などが風化してできた土、「敲き土(たたきつち)」に石灰とにがり(または水)を混ぜて練ったものを塗り、たたき固めた素材。3種類の材料を合わせることから「三和土」と書く。石灰は粘土の硬化を助け、にがりは冬に土間の凍結を防止する効果がある。
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